小児歯科症例

質問1:子供の歯の矯正はいつごろ始めるとよいですか?

いろんな先生が御自身のお考えと方針でスタート時期を設定されると思いますが、僕は年長~一年生、6歳臼歯が萌出するか下顎の前歯がはえかわる時期に骨格分析をして検討を始めるのがいいと思います。

 

質問2:小学校1年生ではまだ永久歯が生えそろっていませんが、矯正は必要ですか?

矯正が必要かどうかは骨格分析をしないと成長予想がつきません。しかし、歯列と骨格の発育を考えると、検討の時期であるとは思います。

 

質問3:前歯が生えかわり、大人の歯が出てきました。あごに比べてかなり大きいので、きれいに並ぶかどうか心配なのですが。

はえかわりの初期は頭蓋骨、下顎顎の骨格はまだ小さくこれから成長発育とともに大きくなってきます。歯は萌出したときから大人の大きさなのでスペースが足りなく見えるのは当然です。そこから綺麗にならんでくるかどうかは分析予想をしないと解かりません。

 

質問4:乳歯が虫歯になってしまいましたが痛がっていません。いずれ大人の歯に生えかわるのでこのままでもいいでしょうか?

時期によると思います。その乳歯がもうブラブラであと数日から数週間ではえかわりそう、という状態なら「そのままで」という判断になることもあるかもしれません。しかし、まだこれからはえかわる時期が数カ月、数年先の乳歯であれば処置をしたほうがよろしいと思います。これはその虫歯の歯一本の問題ではなく、口の中全体の環境としてとらえたときに、不潔な口腔状態を清潔な口腔状態に改善するという大きな予防的な視点で見る必要があるからです。

 

質問5:顔をぶつけた拍子に歯が抜けてしまいました。牛乳で漬けておいて歯医者に行けばもう一度くっつくと聞いたのですが。

理論的には間違ってはいませんが、正直難しいと思います。抜けた歯が折れてはいないか、抜けた歯、抜けてしまった歯茎をバイ菌のつかない状態、また細胞が死滅しないまま保てるかどうか、牛乳、生理的食塩水、自分の唾液などにつけておいたとしても、再植(抜けた位地に埋め戻す)するまでどのくらい時間がかかっているかなど、さまざまな条件が絡んでくるからです。けがをしてから救急で病院に受診するまでの間、すべてが好条件で、施術する先生の技術が確かで、救急受診したときにたまたま長い手術時間がとれるほど診療の空き時間があれば再植も可能かもしれませんが、なかなか難しいことと思います。乳歯ははえかわりますが、萌出したての永久歯はもう二度とはえてきませんのでとりあえず歯科を受診してはいかがでしょうか?

 

質問6:子供の矯正はヘッドギアやあごをバンドで抑えることが必要になってくると聞きました。かわいそうな気がするのですが仕方のないことでしょうか?

僕は「必ず必要である」とは思いません。ヘッドギアやアゴバンドをつけて矯正した子供の100%が大人になってもいい状態で成長するとは限りませんし、逆にそのような装置をつけなくても骨と歯列がバランスのとれた状態を保つことも可能です。もちろんどのような装置を使いどのように成長を促していくかはその先生の治療に対するコンセプトと臨床技術によりますので、ある治療方法が一概に正しい、間違っていると言い切れないと思います。御両親が自分の子供に受けさせたい治療がどのような治療なのか、いろいろな歯科を受診して相談をし、コンセプトや方法を理解し納得したうえで治療をしてもらうのがよろしいかと思います。

 

質問7:親知らずは抜いたほうがいいのでしょうか?抜かないほうはいいのでしょうか?

良く聞かれる質問です。状況によりますが基本的には抜いたほうがいい場合がほとんどです。特殊な例外はありますが、現代人の顎の骨と歯並びにおいて、親知らずはかみ合わせに悪影響を及ぼしてしまいます。(実際論文でもそのような発表がされておりますし、何百人と子供の 成長発育を見ながら歯並び、かみ合わせの経過を見ておりますと実感します。)特殊なケー スを除いて、大人でも子供でも親知らずにはほぼメリットはありません。 僕は自分の治療の中では説明をし納得いただける人であれば子供でも大人でも抜歯をして現在 から将来への悪影響を減らすようにしております。

 

質問8:寝るときに入れ歯は外したほうがいいですか?

はずさないでください。合っている入れ歯、普段入れていても痛くない入れ歯であれば、必ず 装着して就寝してください。昔は「寝るときは外して歯ぐきを休めましょう」と話す先生もい らっしゃったかと思います。しかし、就寝時の筋肉の動きをみると、奥歯が無い患者さんの筋 肉の異常な動きが解明されてきました。歯がある人はその異常な動きは低くなります。歯の無 い人でも、就寝時に義歯を入れていると異常な動きが減ってくるため、筋肉のコリの減少、残 っている歯の歯周病に対する負担軽減などメリットが大きいのです。「入れ歯を入れて就寝す ると痛くて・・・」という人は「入れて寝たほうがいいか、入れないほうがいいか」の前に、 きちんと合う入れ歯を作ってもらったほうがいいですね。

 

質問9:子供の歯が長いことグラグラで抜けそうなのに抜けません。自然に抜けるまで待ったほうがいいですか?歯医者さんにかかったほうがよいでしょうか?

ぐらぐらで抜けない場合、待つかどうかは状態によります。乳歯から永久歯への自然交換で良 い場合もありますし、取ってしまったほうがいい場合もあります。自分で判断しないで、歯科 を受診されてはいかがですか?

 

質問10:永久歯が生えてきたところですが、乳歯にくらべて色が黄色いような気がします。みがきたりないのでしょうか?

初めて出てきた永久歯は乳歯に比べて黄色く見えますが、それが永久歯本来の色です。逆に乳 歯は永久歯に比べてかなり白く、やわらかい歯です。日本人(黄色人種)の永久歯は黄色くて 当たり前です。また、真っ白に見えますが、肌の色が黒い人種の人たちの歯は日本人よりもっ と色が濃いです。しかし肌が黒いので歯が真っ白に見えます。隣の歯や、肌の色によって歯の 色の見え方も感じが違います。錯覚ですね。

 

質問11:新しく生えてきた前歯の永久歯のサイズがほかの歯に比べてとても大きいように感じます。違和感があるのですが・・・・。

永久歯は生えてきた時(約6歳)の大きさが成人の大きさで、生えてきてから大きく育つわけ ではありません。しかし、顎の骨、骨格は約六歳の骨格でまだ子供です。頭の大きさ、顔の大きさに比べて前歯が大きく見えて当然です。大人になった時にうまく並ぶように順番に永久歯が生えてきます。6歳の骨格の時に永久歯がいっぺんに28本生えてきてしまったら、口の中 におさまりきらないですね。