歯並びと咬み合わせの話

友人・知人から相談されることの多くに「うちの子、歯並びが悪いんだけど大丈夫かしら?」
というのがあります。
実はこれ、返答が結構難しいのです。
まず、何をもってして「大丈夫?」なのかは皆さん考え方が違うので、何とも答えが出しにくいのです。その代わり、どういうことが今後起こりうるかという点はある程度~詳しくお話しすることが出来ます。
次に「歯並び」と「咬み合わせ」がイコールではないというお話です。僕は「咬みあわせ」が悪いことによって生じる問題に歯科医師として取り組んでいるのですが、皆さんの考え方では、「それって歯並びが悪いってことでしょ?」になってしまっていることが多いのです。
では、次に問題点を整理してみましょう。
「歯並びが悪い」
・審美的(見た目)な問題
歯が凸凹して見える。
口元が出て見える・引っ込んで見える。
笑った時に歯が綺麗に見えない。
・清掃性の問題
歯ブラシが上手にできない。
結果として虫歯や歯周病の原因になりやすい。
・発音(口で音を出すここ)の問題
空気が漏れたり、舌を置く位置が難しいと、うまく発音できないことがあります。
「咬み合わせが悪い」
・うまく咀嚼できない(ものが良く咬めない。)
・歯に余計な負担がかかって、虫歯の原因にもなりやすい。
・歯周病が局所的に進む原因になる。
・顎関節症を引き起こしやすい。
・虫歯を治した詰め物やかぶせものが、取れたり壊れたりしやすい。
などがあります。

ここからもわかるように、「歯並び」と「咬み合わせ」というのは、重なっている部分はありますが、決してイコールではなく、「歯並びが悪い」というのは主に見た目から生じている問題。「咬み合わせが悪い」というのは、機能的な問題で、病気に直結するという要素があるのです。
「良い咬み合わせ」とは?
本来、歯にはいろんな種類があり(例えば前歯、犬歯、小臼歯、大臼歯)、また上の歯と下の歯でもそれぞれの形態があり、各々の歯には与えられた役割というものがあります。その役割が正しく発揮できる位置に並んでいると、正しく機能ができるということになります。
顎の骨格との関係
顎(上顎・下顎)の成長は、遺伝情報(先天的な要因)とその後の生活習慣や咬み合わせの成長(後天的な要因)によって、大きさや形態が決まってきます。各々の骨格において、適切な咬み合わせが出来ていることが良い咬み合わせの条件になります。
咬合平面とは?
歯が並んでる状態を面としてとらえると、咬合平面という考え方ができます。
これはレントゲンや模型(歯型)などで細かく分析できるのですが、各々の骨格にあわせて、また顎がどのように動いているかも考慮して、理想的な咬合平面が決まってきます。この理想的な咬合平面上に歯が並んでいると、良い咬み合わせといえると考えます。

「歯並び」と「咬み合わせ」の関係?
幾つかのパターンに分けて説明させていただきます。
「歯並びが良くて、咬み合わせも良い。」
これはとてもいいです。問題が生じる可能性が少ないですね。
清掃性(歯ブラシの効果)もいいし、咬み合わせが悪いことによるトラブルも起こりにくいです。むし歯・歯周病・顎関節症などが生じるリスクが低いです。結果として、歯科医院に来てくれない(必要がない)方も多いですね。
「歯並びが良くても咬み合わせが悪い」

一見して歯並びがよく見える方でも、咬み合わせが悪いケースは、実際にはよくあります。まず皆さんの意識される「歯並びがいい」というのは前歯を中心に見えるところだけで判断されていることが多いです。お口の中の状態で外から見えていない部分は結構多く、そこ咬み合わせが悪くなっていても気づきませんよね?
次に、上下の並びがデコボコしていなく奇麗に並んでいるように見えていますが、上下の歯列そのものが、前後や左右に大きくずれていることがあります。結果として「咬み合わせが悪い」になってしまうのです。
「歯並びが悪いのに加えて咬み合わせも悪い」
総じて多いのがこの状態です。「歯並びが悪い」「咬み合わせが悪い」それぞれの問題点を重ねて持っています。患者様の訴えでも、見た目が悪いというだけでなく、うまく食べられない、咬んでも力が入らないなどあり、治療の対象になることが多いです。
「歯並びが悪いのに、咬み合わせはそれほど悪くない」
あまり多くはないですが、こういう状態も存在します。前歯を中心に見るところにデコボコ(不整)があり、見た目は良くないのですが、臼歯(奥歯)の咬み合わせが機能的に問題ない程度に収まっていることがあります。頭や顎の大きさや形態、咬合平面などの要素でバランスが取れてしまって咬み合わせが悪いってほどではないという状態がたまに見かけられるのです。
まとめ
一番の理想であり、問題が一番起こりにくいのは
〚咬み合わせが良くて、歯並びもいい。」状態です。
当院では、最終的にこの状態を目指して治療を行っています。
方法としては、矯正と補綴(歯の被せものや、インプラント、義歯など)が主になります。
患者様一人一人に合わせた総合的な治療で、
「咬み合わせが良くて歯並びがいい」(一番いい状態)を目指しているのです。