成人矯正

成人矯正治療 ~見た目だけではない、生涯の健康を見据えた機能矯正~

「大人になってからでも、歯並びはきれいにできる?」

「長年のコンプレックスだった歯並びを、今からでも治したい」

「見た目だけでなく、しっかり噛めるようになりたい」

近年、美意識や健康意識の高まりから、成人になって矯正治療を希望される方が増えています。

子どもの頃にタイミングを逃してしまった方、一度治療したけれど満足できなかった方、あるいは加齢とともにお口の状態が変化してきた方など、その背景は様々です。

しろきデンタルクリニックでは、そのような成人の方々の想いに応えるべく、単に見た目を整えるだけでなく、お口全体の機能、そして全身との調和を最優先に考えた「機能矯正」に取り組んでいます。

それは、生涯にわたってご自身の歯で美味しく食事をし、健康で豊かな人生を送っていただくための、大切な投資であると私たちは考えています。

なぜ成人にも矯正治療が推奨されるのか? 

歯並びや咬み合わせの問題(不正咬合)は、見た目のコンプレックスに繋がるだけでなく、お口や全身の健康に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。

成人期は、これまでの生活習慣や加齢によって、その影響がより顕著に現れてくる時期でもあります。

不正咬合が引き起こす主な問題

不正咬合による悪循環|しろきデンタル
  • 審美的な問題
    歯並びのガタガタ(叢生)、出っ歯(上顎前突)、受け口(下顎前突)、すきっ歯(空隙歯列)、開咬(奥歯で噛んでも前歯が閉じない)などは、笑顔に自信が持てなかったり、人前で話すことに抵抗を感じたりする原因となります。
  • 機能的な問題
    • 咀嚼機能の低下: 食べ物を効率よく噛み砕くことができず、消化不良の原因となったり、食事の楽しみを損なったりします。
    • 発音障害: 特定の音(サ行、タ行など)が発音しにくくなることがあります。
  • むし歯・歯周病のリスク増加
    歯が重なり合っている部分は歯ブラシが届きにくく、汚れ(プラーク)が溜まりやすいため、むし歯や歯周病のリスクが高まります。歯周病が進行すると、歯を失う原因にもなります。
  • 顎関節への負担増加
    咬み合わせのバランスが悪いと、顎関節に無理な力がかかり、顎の痛みや開口障害、関節音などを引き起こす「顎関節症」の原因となることがあります。
  • 全身への影響
    咬み合わせのズレが、頭痛や肩こり、首の痛み、姿勢の歪みなど、全身の不調に関与している可能性も指摘されています。

成人矯正治療は、これらの問題を根本的に解決し、見た目の美しさはもちろん、お口の機能を回復・向上させ、将来的なむし歯や歯周病のリスクを低減し、ひいては全身の健康維持に貢献することを目的としています。

当院の成人矯正治療の根幹にある考え方【機能が先、美しさは後からついてくる】

一般的な矯正治療では、「歯をきれいに並べること」が主なゴールとされることが多いかもしれません。

もちろん、当院でも治療結果としての審美性は大切に考えています。

しかし、私たちは、見た目の美しさよりも、まず「機能」を最優先するという考え方を貫いています。

なぜなら、お口は非常に精巧で複雑な「器官」であり、歯、顎の骨、顎関節、筋肉、神経が互いに連携し、調和を保ちながら機能しているからです。

このデリケートなバランスを無視して、無理に見た目だけを整えようとすると、かえって機能的な問題(噛みにくい、顎が痛いなど)を引き起こしたり、治療結果が不安定で後戻りしやすくなったり、将来的に別のトラブルを招いたりするリスクがあるのです。

シークエンシャル咬合に基づいた矯正設計

当院の矯正治療は、すべての歯科治療の基礎としている「シークエンシャル咬合」の考え方に基づいています。

これは、単に歯を静的な位置で噛み合わせるだけでなく、食事や会話の際の顎のスムーズで連続的な動き(顎運動)を考慮し、その動きを妨げず、顎関節や筋肉に負担をかけない、生理的で調和の取れた咬み合わせを目指すものです。

このシークエンシャル咬合を実現するためには、歯の位置だけでなく、下顎骨の位置や傾き、骨格全体のバランス、筋肉の機能までを考慮して、咬み合わせを再構築していく必要があります。

機能を徹底的に追求し、顎運動と調和した咬み合わせを構築していくと、結果として歯並びは自然に整い、顔貌とのバランスも取れた、機能美あふれる口元が実現されるのです。

当院では、審美性を声高に謳うのではなく、「機能の追求が、真の美しさを創り出す」と考えています。

顎関節の状態を診断してから治療を開始
フェイスボウ|しろきデンタル

特に成人の方の場合、これまでの生活の中で顎関節に何らかの問題を抱えているケースも少なくありません。

矯正治療によって歯を動かすことは、顎の位置や咬み合わせのバランスを変化させることでもあります。

そのため、顎関節の状態を考慮せずに治療を進めると、既存の顎関節症状を悪化させたり、新たに症状を引き起こしたりするリスクがあります。

当院では、矯正治療を開始する前に、必ず顎運動検査(CADIAX)などを用いて顎関節の状態や顎の動きを精密に検査・分析します。

その結果を治療計画に反映させ、顎関節に負担をかけない、むしろ症状を改善できるような矯正治療を目指します。

実際に、機能的な咬み合わせを再構築する矯正治療によって、長年悩まされていた顎関節症の症状が改善する患者様も多くいらっしゃいます。

「小臼歯を抜かない」非抜歯矯正

矯正治療というと、「歯を抜かなければきれいに並ばない」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。

確かに、歯を並べるスペースが不足している場合に、小臼歯(前から4番目または5番目の歯)を抜歯してスペースを作り出す方法は、一般的な矯正治療で広く行われています。

しかし、しろきデンタルクリニックでは、原則として健康な小臼歯の抜歯を行わない「非抜歯矯正」を基本方針としています。

なぜなら、私たちは「人の歯に、不必要な歯は一本もない。すべての歯には、それぞれが果たすべき大切な役割がある」と考えているからです。

なぜ抜歯を避けるのか

小臼歯は、前歯と奥歯の中間に位置し、咬み合わせの安定や顎の動きにおいて重要な役割を担っています。

安易に小臼歯を抜歯してしまうと、以下のような懸念が生じる可能性があります。

  • 歯列全体のアーチが小さくなり、舌のスペースが狭くなる。
  • 咬み合わせのバランスが変化し、顎関節への負担が変わる可能性がある。
  • 本来あるべき歯の本数が減ることで、将来的に他の歯への負担が増える可能性がある。

もちろん、骨格的な問題が非常に大きい場合や、歯の状態によっては、やむを得ず抜歯を選択せざるを得ないケースも稀に存在します。

しかし、それは最終手段であり、まずは非抜歯で治療が可能かどうかをあらゆる角度から検討します。

非抜歯でどのようにスペースを確保するのか

「抜歯しないで、どうやって歯をきれいに並べるの?」と疑問に思われるかもしれません。

当院では、以下のような方法を組み合わせることで、必要なスペースを確保します。

  • 歯列の側方拡大
    歯が並んでいるアーチを、骨格的に無理のない範囲で横に広げます。
  • 奥歯の後方移動
    奥歯全体を少しずつ後ろに動かして、前方のスペースを作り出します。
  • 歯の傾きの調整
    不自然に傾いている歯の角度を修正します。
  • IPR(歯間削合)
    歯の側面のエナメル質をごくわずか(0.1mm~0.5mm程度)削合し、スペースを作る方法です。削る量は最小限にとどめ、歯の健康に影響が出ない範囲で行います。

これらの方法を、患者様の骨格や歯の状態に合わせて適切に組み合わせることで、多くの場合、非抜歯での矯正治療が可能となります。

難症例にも対応|しろきデンタル
親知らずは例外です

ただし、「親知らず」に関しては、抜歯を推奨する場合が多くあります。

現代人の顎は小さくなってきており、親知らずが正常な位置にまっすぐ生えてくるスペースがないことがほとんどです。

無理に生えてこようとすると、手前の歯を押して歯並びを乱したり、清掃が困難でむし歯や歯周病の原因になったり、咬み合わせの邪魔になったりすることが多いためです。

機能的な咬み合わせを構築する上で、親知らずが良い影響を与えることは稀であるため、当院では、矯正治療計画の一環として、あるいは将来的なリスクを回避するために、必要に応じて親知らずの抜歯をおすすめしています。

精密な診査・診断

成人矯正は、お子様の矯正と異なり、顎骨の成長を利用することができません。

また、歯周組織の状態や、過去の治療歴なども考慮に入れる必要があります。

そのため、より精密な診査・診断に基づいた、緻密な治療計画が不可欠となります。

当院では、以下の検査機器を駆使し、患者様のお口の状態、骨格、顎の機能などを多角的に、かつ正確に把握します。

精密な診査・診断|しろきデンタル
  • レントゲン検査(パノラマ・セファロ)
    歯や顎の骨全体の形態、歯の根の状態、骨格のバランス、歯の傾きなどを評価します。セファロ分析は、骨格的な不正咬合の原因を特定し、治療計画を立てる上で必須です。
  • CT検査
    必要に応じて、顎の骨の厚みや形態、顎関節の詳細な構造などを三次元的に確認します。
  • 顎運動検査(CADIAX)
    コンピューターを用いて顎の動きを精密に記録・分析します。単に歯を並べるだけでなく、顎関節に負担がなく、スムーズに機能する咬み合わせを設計するために、当院ではすべての矯正症例でこの検査を実施しています。
  • 口腔内スキャナー(iTero)
    精密な歯型をデジタルデータで取得します。治療前後のシミュレーションを行ったり、マウスピース型矯正装置(インビザライン)を作製したりする際に活用します。
  • 歯周組織検査
    歯周病の有無や進行度を確認します。歯周病がある場合は、矯正治療を開始する前に、まず歯周病治療を行う必要があります。
  • 顔面・口腔内写真
    治療前後の比較や、治療計画の説明のために使用します。

これらの詳細な検査データに基づいて、シークエンシャル咬合の理論に基づいた理想的なゴールを設定し、そこへ至るための最適な治療方法とステップを計画します。


患者様に合わせた治療方法の選択 – ワイヤー、マウスピース、そして総合的なアプローチ

当院では、患者様のご希望、ライフスタイル、そして何よりもお口の状態や治療目標に合わせて、最適な矯正装置や治療法を選択します。

ワイヤー矯正

歯の表面に「ブラケット」と呼ばれる小さな装置を取り付け、そこにワイヤーを通して歯を動かしていく、最も歴史があり、確実性の高い矯正方法です。

あらゆるタイプの不正咬合に対応可能で、特に歯を大きく動かしたり、精密なコントロールが必要な場合、あるいは顎の位置自体を変化させるような「機能矯正」を行う場合に有効です。

ワイヤー矯正|しろきデンタル
  • ブラケットの種類
    • メタルブラケット
      金属製の一般的なブラケット。丈夫で比較的安価ですが、見た目が目立ちます。
    • セラミックブラケット
      透明または歯の色に近いセラミック製のブラケット。メタルブラケットに比べて目立ちにくいのが利点です。
  • ワイヤーの種類
    様々な種類のワイヤー(材質、太さ、形状)を、治療段階や目的に応じて使い分けます。当院では、しなやかで持続的な力を発揮するゴムメタルワイヤー(JMオーソ社製)なども使用しています。
  • 当院のこだわり
    単に既成のワイヤーアーチに歯を並べるのではなく、患者様一人ひとりの骨格や顎の動きに合わせて、理想的な歯列形態となるようにワイヤーを精密に調整・作製します。これにより、真の機能矯正、シークエンシャル咬合の実現を目指します。
  • リンガルブラケット(舌側矯正)やヘッドギアは使用しません
    咬み合わせや顎の機能を正確にコントロールするという観点から、当院ではこれらの装置は採用していません。

マウスピース矯正(インビザライン)

透明なマウスピース型の装置を段階的に交換していくことで、歯を動かす比較的新しい矯正方法です。

マウスピース矯正|しろきデンタル
  • メリット
    • 装置が透明で目立ちにくい。
    • 食事や歯磨きの際に自分で取り外せるため、衛生的で快適。
    • 金属アレルギーの心配がない。
    • 治療開始前に3Dシミュレーションで歯の動きを確認できる。
  • デメリット
    • 適応できる症例が限られます。歯の移動量が大きい場合や、複雑な歯の動きが必要な場合は、ワイヤー矯正の方が適していることがあります。
    • 患者様ご自身で決められた時間(通常1日20~22時間以上)装着していただく必要があり、自己管理が重要です。
    • 設計・診断には高度な専門知識と経験が必要です。安易に行うと、計画通りに歯が動かなかったり、望ましくない咬み合わせになったりするリスクがあります。
  • 当院での位置づけ
    当院では、インビザラインを用いる場合でも、単なる審美目的ではなく、シークエンシャル咬合に基づいた機能改善をゴールとして設定します。
    適応症例かどうかを慎重に見極め、精密な治療計画に基づいて行います。

ワイヤー矯正とマウスピース矯正の併用

それぞれの装置のメリットを最大限に活かすために、ワイヤー矯正とマウスピース矯正を組み合わせることもあります。

例えば、治療初期にワイヤー矯正で大きな歯の移動を行い、ある程度歯並びが整った段階で、より快適なマウスピース矯正に移行する、といった柔軟な対応が可能です

矯正を成功させるためにご理解いただきたいこと

丁寧な歯磨き

矯正装置の周りは汚れが溜まりやすく、むし歯や歯周病のリスクが高まります。装置の種類に合わせた適切な方法で、時間をかけて丁寧に歯磨きを行う習慣をつけましょう。

食事の工夫

ワイヤー矯正の場合、硬いものや粘着性の高い食べ物は、装置の破損や脱離の原因となるため、避けるようにしましょう。小さく切って食べるなどの工夫も有効です。

定期的な通院

計画通りに歯を動かし、トラブルを早期に発見するためにも、指示されたスケジュール通りに必ず通院してください。

保定装置(リテーナー)の使用

装置除去後の保定期間は、治療の一部です。指示通りにリテーナーを使用しないと、せっかくきれいに並んだ歯が後戻りしてしまいます。

成人矯正をお考えの方へ

「もう大人だから…」「今さら始めても…」と、矯正治療を諦めていませんか。

成人矯正は、決して遅すぎるということはありません。

むしろ、ご自身の意志で、お口の健康とより良い人生のために踏み出す、素晴らしい一歩です。

しかし、どのような矯正治療を選ぶかは、非常に重要です。

単に見た目だけを追求する治療ではなく、お口全体の機能、顎関節の状態、そして全身との調和までを考慮した、長期的な視点での治療を選択することが、将来の後悔を防ぐ鍵となります。

しろきデンタルクリニックでは、「機能矯正」「シークエンシャル咬合」「原則非抜歯」という確固たる哲学に基づき、患者様お一人おひとりの骨格や生体に合わせた、オーダーメイドの成人矯正治療を実践しています。

精密な診査・診断と、ワイヤー・マウスピース・補綴治療などを組み合わせた総合的なアプローチにより、見た目の美しさはもちろん、しっかりと噛めて、顎関節にも優しい、長期的に安定した咬み合わせの実現を目指します。

治療期間や費用、装置の見た目など、様々な不安や疑問があることと思います。

どうぞ、まずはお気軽に、あなたの想いをお聞かせください。

私たちが、あなたの笑顔と健康をサポートするための最善の道筋を、一緒に見つけていきます。

診療時間

診療時間
9:20~12:30
13:30~18:00
【休診日】日曜日、年末年始、ゴールデンウィーク、お盆、他
※当院は 完全予約制 となっております※

しろきデンタルクリニック

〒168-0064 東京都杉並区永福2-49-6

  • 電話番号

    [TEL] 03-3321-2231
    [FAX] 03-3321-2232

    受付:
  • アクセス

    京王井の頭線「永福町」より 徒歩2分