予防歯科・PMTC
治療から予防へ。未来の健康を守る新しい歯科習慣
「歯が痛くなってから歯医者さんへ行く」
「悪くなったら治療すればいい」
もしかしたら、まだそのようにお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、失われた歯や、削られてしまった歯は、二度と元の状態に戻ることはありません。
治療を繰り返せば繰り返すほど、歯はダメージを受け、寿命は短くなっていきます。
しろきデンタルクリニックでは、「治療中心」から「予防中心」へ、皆様の歯科医院との関わり方を変えていきたいと強く願っています。
それは、むし歯や歯周病になってから治療するのではなく、そもそも病気にならないように、健康な状態を維持するために、積極的に歯科医院を活用するという、新しい習慣です。
予防歯科は、ご自身の歯を生涯にわたって守り、将来の治療にかかる時間、費用、そして何より痛みを最小限に抑えるための、最も賢明で確実な方法なのです。
私たちが目指すのは、患者様のお口が「治療の必要がない健康な状態」であり続けることです。

なぜ「予防」がこれほどまでに大切なのでしょうか?
歯は、私たちが美味しく食事をし、楽しく会話し、豊かに表情を作るために、なくてはならない大切な体の一部です。
そして、お口の健康は、全身の健康とも密接に関わっています。
失ってから気づく、歯の価値
私たちは普段、当たり前のように歯を使っていますが、その本当の価値は、失って初めて気づくことが多いものです。
自分の歯でしっかりと噛める喜び、好きなものを自由に食べられる幸せは、何物にも代えがたいものです。
しかし、むし歯や歯周病によって一度失われてしまった天然の歯は、どんなに優れた治療法をもってしても、完全に元通りにすることはできません。
静かに進行するお口の病気
むし歯も歯周病も、初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。
「しみる」「痛い」「歯茎から血が出る」「歯がグラグラする」といった症状が現れた時には、すでに病気がかなり進行してしまっているケースが少なくないのです。
「もっと早く来ていれば、こんなに削らなくても済んだのに…」
「もう少し早くケアを始めていれば、歯を抜かずに済んだかもしれない…」
私たちは、そのような後悔をされる患者様を、一人でも減らしたいと願っています。
治療の繰り返しが歯を弱らせる
一度治療した歯は、全く治療していない健康な歯に比べて、どうしても弱くなります。
詰め物や被せ物と、ご自身の歯との境目は、汚れが溜まりやすく、そこから再びむし歯(二次カリエス)になるリスクも高まります。
治療を繰り返すごとに、削られる歯の量は増え、歯の神経に近づき、最終的には歯の寿命を縮めてしまうことにつながります。
予防こそ、最大の防御であり、最良の治療
定期的に歯科医院で検診を受け、専門的なケアを受けることで、むし歯や歯周病を未然に防いだり、ごく初期の段階で発見して最小限の介入で済ませたりすることが可能です。
つまり、予防歯科に取り組むことは、ご自身の歯を最も効果的に守り、歯の寿命を最大限に延ばすための、最良の選択なのです。
生涯を通じて必要な歯科治療費を考えた場合にも、結果的に予防に力を入れる方が、費用負担を軽減できるというデータもあります。
お口の健康は、全身の健康への扉
近年、歯周病が糖尿病、心臓病、脳梗塞、誤嚥性肺炎、骨粗しょう症、早産など、様々な全身疾患と関連していることが明らかになっています。
お口の中の細菌や炎症が、血管を通じて全身に影響を及ぼすのです。
お口の健康を維持することは、単に歯を守るだけでなく、全身の健康を守ることにも繋がっています。
むし歯・歯周病を予防するために
効果的な予防を行うためには、まず、むし歯や歯周病がなぜ起こるのか、その原因を正しく理解することが大切です。
むし歯の原因
お口の中にいるむし歯菌が、飲食物に含まれる糖分を分解して「酸」を作り出し、その酸によって歯が溶かされる(脱灰)ことで発生します。
唾液には酸を中和し、溶けた歯を修復する(再石灰化)働きがありますが、糖分の摂取頻度が高かったり、歯磨きが不十分でプラーク(細菌の塊)が多かったりすると、脱灰が再石灰化を上回り、むし歯が進行します。
歯周病の原因
歯周病菌が潜むプラークや、それが硬化した歯石が直接的な原因です。
これらの細菌が出す毒素によって歯茎に炎症が起こり、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていきます。
さらに、喫煙、糖尿病、ストレス、そして咬み合わせの不調和などが、歯周病の発症や進行を加速させるリスクファクターとなります。
これらの原因を知ることで、日々の生活の中で何を気をつけるべきか、どのようなケアが必要なのかが見えてきます。
予防歯科の二本の柱「セルフケア」と「プロフェッショナルケア」
むし歯や歯周病を効果的に予防するためには、「ご自身で行う毎日のケア(セルフケア)」と、「歯科医院で行う専門的なケア(プロフェッショナルケア)」の両方を、継続的に行っていくことが不可欠です。
どちらか一方だけでは、十分な予防効果は得られません。
セルフケア
毎日の歯磨きが基本です

毎日の歯磨きは、お口の健康を守るための基本中の基本です。
しかし、ただ漫然と磨いているだけでは、汚れを十分に落とすことはできません。
多くの方が、無意識のうちに磨きやすいところばかり磨いていたり、力の入れすぎで歯や歯茎を傷つけていたり、汚れが溜まりやすい歯と歯の間や、歯と歯茎の境目が見逃されていたりします。
「毎日ちゃんと磨いているのに、むし歯や歯周病になってしまう」という方は、もしかしたら「磨いているつもり」になっているだけで、「磨けている」状態ではないのかもしれません。
質の高いセルフケアを実践するためには、ご自身のお口の状態に合った正しい歯磨きの方法を身につけることが重要です。
プロフェッショナルケア
セルフケアでは届かない領域をカバー

どんなに丁寧に歯磨きをしても、歯ブラシだけでは落としきれない汚れがあります。
特に、歯の表面に強固に付着した細菌の膜「バイオフィルム」や、硬く石灰化した「歯石」は、ご自身のケアだけでは除去が困難です。
また、むし歯や歯周病は、初期段階では自覚症状がないことが多いため、ご自身では気づかないうちに進行している可能性があります。
歯科医院でのプロフェッショナルケアでは、
- セルフケアでは除去できないバイオフィルムや歯石を、専門的な器具を用いて徹底的に除去します。
- むし歯や歯周病の兆候、詰め物や被せ物の不具合などを、専門家の目で早期に発見します。
- 患者様一人ひとりのお口のリスク(むし歯になりやすい、歯周病が進行しやすいなど)を評価し、適切な予防プランを提案します。
- 定期的なチェックと指導を通じて、セルフケアへのモチベーションを高め、維持するお手伝いをします。
二つのケアの連携が鍵
セルフケアとプロフェッショナルケアは、車の両輪のようなものです。
毎日の質の高いセルフケアでプラークをコントロールし、定期的なプロフェッショナルケアでセルフケアでは落としきれない汚れを除去し、お口の状態をチェックし、セルフケアの方法を修正していく。
この二つを継続的に連携させることで、むし歯や歯周病を効果的に予防し、お口の健康を長期的に維持していくことが可能になるのです。
当院の予防歯科へのこだわり「自宅でできること」の質を高めるサポート
しろきデンタルクリニックでは、予防歯科において、特に患者様ご自身による「セルフケア」の質を高めるためのサポートを最も重要視しています。
プロの技術を「お手本」に
歯科医院でのプロフェッショナルクリーニングは、お口をきれいに保つ上で確かに有効です。
当院でも、患者様のお口の状態に合わせて、月に1回程度を目安に、定期的なクリーニング(PMTC)を行っています。
しかし、月に一度きれいにしても、その効果が1ヶ月間持続するわけではありません。
本当に大切なのは、歯科衛生士が行うクリーニングの技術やコツを、患者様がご自身の毎日の歯磨きに取り入れ、実践できるようになることだと考えています。
そのため、当院の歯科衛生士は、クリーニングを行う際に、歯科医院専用の特別な機械だけに頼るのではなく、患者様がご自宅で使用されている歯ブラシやフロス、歯間ブラシなどを実際に使いながら、「このように磨くと汚れが落ちやすいですよ」「この部分には、この角度でフロスを通しましょう」といった具体的なお手本を示すことを心がけています。
私たちのケアを見て、感じて、ご自宅で「真似をしていただく」こと。
それが、セルフケアのレベルアップに繋がる最も効果的な方法だと信じています。
定期的な「やり方」の再確認と軌道修正
どんなに丁寧に指導を受けても、毎日の歯磨きは、時間とともにどうしても自己流になりがちです。
「これで磨けているはず」という思い込みで、磨き残しが多くなってしまうことも少なくありません。
そこで重要になるのが、定期的なプロフェッショナルケアの際に、「現在の磨き方で、きちんと汚れが落とせているか」を客観的にチェックし、必要であれば「やり方」を再確認し、軌道修正していくことです。
染め出し液を使って磨き残しを目で見て確認したり、口腔内カメラでご自身の歯の状態を見ていただいたりしながら、改善点やポイントを具体的にお伝えします。
この定期的なチェックとフィードバックの繰り返しが、質の高いセルフケアを維持するための鍵となります。
また、専門家から「きれいになっていますね」「この調子で頑張りましょう」と声をかけられることは、日々のケアへのモチベーション維持にも繋がります。
咬み合わせの管理も大切な予防
当院では、むし歯や歯周病のチェックだけでなく、咬み合わせの状態を定期的に確認することも、予防歯科の重要な要素と考えています。
咬み合わせのバランスが崩れると、特定の歯に過剰な負担がかかり、歯が欠けたり、歯周病が悪化したり、詰め物や被せ物が壊れたりする原因となります。
定期検診の際に、咬み合わせに異常がないかをチェックし、必要であれば微調整を行うことで、お口全体のバランスを整え、トラブルを未然に防ぎます。
PMTCで徹底的にきれいに

PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)とは、歯科医師や歯科衛生士が、専門的な知識と技術、そして専用の器具を用いて行う、歯の徹底的なクリーニングのことです。
毎日の歯磨きでは落としきれない汚れを除去し、むし歯や歯周病を予防する上で非常に効果的な処置です。
PMTCの目的と効果
バイオフィルムの除去
歯石の除去
着色汚れ(ステイン)の除去
歯面の滑沢化
フッ素塗布による歯質強化
爽快感と審美性の向上
未来の健康のために、今日から始める予防歯科
むし歯や歯周病は、生活習慣と深く関わる病気です。
治療によって一時的に問題を解決しても、根本的な原因や生活習慣が変わらなければ、再発のリスクは常に残ります。
大切なのは、「治療」が必要になる前の段階で、いかに「予防」できるかです。
しろきデンタルクリニックでは、患者様一人ひとりのお口の状態とリスクを的確に把握し、科学的根拠に基づいた効果的な予防プログラムをご提案します。
そして、専門的なプロフェッショナルケアと、患者様ご自身による質の高いセルフケアの両面から、皆様のお口の健康づくりを全力でサポートします。
「もう何年も歯医者さんに行っていない」
「特に困っていないから大丈夫」
そう思われている方も、ぜひ一度、検診にお越しください。
自覚症状がないうちに潜んでいる問題を発見できるかもしれません。
定期的な検診とメインテナンスを習慣づけることが、将来にわたってご自身の歯で、笑顔で、健康に過ごすための、最も確実な方法です。
私たちと一緒に、未来の健康を守るための、新しい歯科習慣を始めませんか。