インプラント

失った歯の機能と笑顔を取り戻すためのインプラント治療

むし歯や歯周病、あるいは不慮の事故など、様々な理由で大切な歯を失ってしまった時、その喪失感は計り知れません。

「うまく噛めない」「見た目が気になる」「話す時に発音がしにくい」…。

歯を失うことは、単に機能的な問題だけでなく、審美的なコンプレックスや、食事や会話を楽しむといった、日々の生活の質(QOL)の低下にも繋がってしまいます。

失われた歯の機能を回復させるための治療法として、従来から「入れ歯(義歯)」や「ブリッジ」が行われてきました。

そして近年、これらに加えて「インプラント治療」が「第3の歯」として注目され、広く普及してきています。

インプラントは、まるでご自身の歯が蘇ったかのような、自然な見た目と優れた機能回復が期待できる、画期的な治療法です。

しかし、しろきデンタルクリニックでは、インプラント治療を単に「歯がないところに人工の歯を入れる」という処置とは考えていません。

インプラントが、お口の中で長期的に安定し、周囲の歯や顎、そして体全体と調和して、健康的に機能し続けること。

それこそが、真に「成功したインプラント治療」であると考え、その実現のために、私たちは独自の哲学とこだわりを持って治療に取り組んでいます。

このページでは、インプラント治療の基本的な知識から、当院の治療方針、そして安全で確実な治療を実現するための取り組みについて、詳しくご紹介します。

インプラント治療|しろきデンタル

インプラントは顎の骨に根付く、もう一つの「自分の歯」

インプラント治療とは、歯を失った部分の顎の骨に、チタン製のネジのような形をした人工歯根(インプラント体)を外科的に埋め込み、そのインプラント体が骨としっかりと結合(オッセオインテグレーション)するのを待ってから、その上に人工の歯(上部構造)を装着する治療法です。

顎の骨に直接固定されるため、天然の歯の根っこに近い役割を果たし、ご自身の歯に近い感覚で、しっかりと噛むことができます。

他の治療法(入れ歯・ブリッジ)との比較

失った歯を補う方法として、インプラント以外に入れ歯とブリッジがあります。

それぞれの特徴と比較してみましょう。

  • インプラント
    • メリット
      • 自分の歯のようにしっかりと噛める(天然歯に近い咀嚼能力)。
      • 見た目が自然で、他の歯と見分けがつきにくい。
      • 隣の健康な歯を削る必要がない。
      • 顎の骨に直接力が伝わるため、骨が痩せるのを防ぐ効果がある。
      • 取り外しの必要がなく、違和感が少ない。
    • デメリット
      • 外科手術が必要。
      • 治療期間が比較的長い(数ヶ月~1年程度)。
      • 保険適用外のため、費用が高額になることが多い。
      • 全身状態や顎の骨の状態によっては、治療が受けられない場合がある。
      • 治療後の定期的なメインテナンスが非常に重要。
  • ブリッジ
  • メリット
    • 固定式なので、比較的安定して噛める。
    • 保険適用で作製できる場合もある。
    • 治療期間が比較的短い。
  • デメリット
    • 土台とするために、両隣の健康な歯を削る必要がある(歯の寿命を縮める可能性がある)。
    • 土台となる歯に負担がかかる。
    • 歯のない部分の骨は徐々に痩せていく。
    • 清掃がしにくく、土台の歯がむし歯や歯周病になりやすい。
  • 入れ歯(義歯)
    • メリット
      • 多くの症例に適応可能。
      • 健康な歯を削る必要が少ない(部分入れ歯の場合、バネをかける歯を少し削ることはある)。
      • 保険適用で作製できる。
      • 取り外して清掃できる。
    • デメリット
      • 噛む力が天然歯に比べて弱い(硬いものや粘り気のあるものが食べにくい)。
      • 装着時に違和感や痛みを感じることがある。
      • 発音しにくい場合がある。
      • 部分入れ歯の場合、バネが見えて審美的に劣ることがある。
      • 安定性が悪く、外れやすいことがある。
      • 取り外して手入れをする必要がある。

インプラント治療は、他の治療法と比較して、機能面、審美面、そして周囲の歯への影響という点で、多くの優れた特徴を持っています。


当院のインプラント治療の考え方「長持ち」と「調和」を追求する設計

インプラント治療の技術は日々進歩し、手術の成功率も非常に高くなっています。

しかし、私たちは「手術が成功し、インプラントが骨とくっつくこと」だけをゴールとは考えていません。

本当に大切なのは、埋め込まれたインプラントが、その後何年、何十年にもわたって問題なく機能し続け、患者様の健康で快適な生活を支え続けることです。

そのために、当院では以下の点を特に重視しています。

1. 「なぜ歯を失ったのか?」根本原因への徹底的なアプローチ

インプラント治療を始める前に、まず「なぜ、その歯を失うことになったのか?」という根本的な原因を突き止めることが非常に重要です。

それが、重度のむし歯だったのか、進行した歯周病だったのか、あるいは咬み合わせの負担による破折だったのか…。

もし、歯を失った原因が解決されないままインプラントを入れても、同じ問題がインプラントとその周囲で起こり、インプラントの寿命を縮めてしまうリスクが高まります。

例えば、歯周病で歯を失った方が、歯周病の管理が不十分なままインプラントを入れると、「インプラント周囲炎」というインプラントの歯周病にかかりやすくなります。

また、咬み合わせのバランスが悪くて歯が割れてしまった方が、咬み合わせを改善せずにインプラントを入れると、今度はインプラントに過剰な負担がかかり、破損や脱落の原因となりかねません。

当院では、インプラント治療を行う際には、必ず歯を失った原因を精査し、必要であれば、歯周病治療や咬み合わせの改善治療などを並行して行い、お口全体の環境を整えてからインプラント治療に進むことを原則としています。

2. 「木を見て森も見る」お口全体の調和を考えた設計

インプラントは、失われた歯の代わりとなるものですが、決して単独で機能しているわけではありません。

それは、お口の中という複雑な生態系、そして顎の動きや筋肉、骨格といったシステム全体の一部として機能します。

当院では、インプラント治療を計画する際に、失われた歯(木)だけを見るのではなく、お口全体(森)、さらには頭蓋骨を含めた全身とのバランスまでを考慮した、包括的な視点での設計を重視しています。

インプラントを、単に欠損部を埋めるパーツとしてではなく、全体の咬み合わせの中で、機能的に最も調和のとれた位置と形態を持つ、重要な構成要素として捉え、設計に落とし込んでいきます。

3. 咬み合わせ(シークエンシャル咬合)を最優先した埋入計画

長期的に安定して機能するインプラントを実現するための鍵は、手術そのものよりも、その前の「設計」にあると私たちは考えています。

特に重要なのが、最終的に装着される人工歯(上部構造)が、理想的な咬み合わせ(シークエンシャル咬合)に参加できるように、インプラントの埋入位置、角度、深さを逆算して精密に計画することです。

単に「骨が十分にある場所」にインプラントを埋めるのではありません。

それでは、たとえ骨としっかり結合しても、機能的に無理のある位置になってしまい、長期的な安定が得られなかったり、他の歯や顎関節に負担をかけたりする可能性があります。

私たちは、顎の動きや他の歯との関係性を考慮し、「ここに、この角度でインプラントがあれば、最も理想的な咬み合わせと機能が実現できる」という位置を割り出し、そこに必要な骨が足りなければ骨造成を行うなどして、機能的に最適な場所への埋入を目指します。

この咬み合わせを重視した設計こそが、インプラントの長期的な成功に不可欠なのです。

4. インプラント以外の選択肢も常に視野に

インプラント治療は優れた選択肢ですが、すべての方にとって常に最善の方法であるとは限りません。

患者様の全身状態(重度の糖尿病や骨粗しょう症など)、顎の骨の状態(極端に骨が少ない場合など)、ライフスタイル、そしてご希望によっては、入れ歯やブリッジの方が適している場合もあります。

当院では、インプラントありきで話を進めるのではなく、入れ歯やブリッジも含めた全ての選択肢のメリット・デメリットを公平にご説明し、患者様のお口全体の状態と将来を見据えた上で、最も適切と考えられる治療法を一緒に検討していく姿勢を大切にしています。


安全で確実なインプラント治療を実現するための、当院の取り組み

インプラント治療は、外科手術を伴う高度な治療です。

患者様に安心して治療を受けていただくために、当院では安全性と確実性を追求するための様々な取り組みを行っています。

取り組み1:CTによる精密な術前診査・診断
レントゲン|しろきデンタル

安全なインプラント手術を行う上で、CT検査は絶対に欠かすことのできない診査項目です。

従来のレントゲン写真(二次元)では分からなかった、顎の骨の厚み、高さ、密度、形態、そして内部を通る重要な神経(下歯槽神経など)や血管の位置関係などを、三次元的に、ミリ単位で正確に把握することができます。

これにより、

  • インプラントを埋め込むのに十分な骨があるか?
  • 神経や血管を損傷するリスクはないか?
  • 骨造成が必要かどうか?
  • どのような太さ・長さのインプラントが最適か? などを術前に詳細に評価し、安全で無理のない手術計画を立案することが可能になります。
取り組み2:コンピューターシミュレーションと「サージカルガイド」の活用
サージカルガイド|しろきデンタル

CTで得られた三次元データと、口腔内スキャナー(iTero)で取得した歯型のデジタルデータなどをコンピューター上で統合し、インプラントの理想的な埋入位置、角度、深さを精密にシミュレーションします。

さらに、このシミュレーション結果に基づいて、「サージカルガイド」と呼ばれる、手術時に使用するマウスピース型の補助装置を作製することを推奨しています。

サージカルガイドには、計画通りの位置・角度・深さにインプラントを埋入するためのドリル誘導用の穴が開いており、これを用いることで、

  • フリーハンドの手術に比べて、格段に高い精度でインプラントを埋入できる。
  • 神経や血管などの重要組織を損傷するリスクを大幅に低減できる。
  • 歯茎の切開や骨の切削を最小限に抑えられ、手術時間の短縮にも繋がる。
  • 結果として、術後の腫れや痛みを軽減し、より安全で予知性の高い(計画通りの結果が得られやすい)手術が可能になります。
取り組み3:必要な場合の「骨造成」による確実な土台作り
骨造成|しろきデンタル

インプラントを長期的に安定させるためには、インプラントを支えるための十分な量と質の骨が必要です。

歯を失ってから時間が経っていたり、歯周病が進行していたりすると、顎の骨が痩せてしまい、そのままではインプラントを埋め込むのに十分な骨がない場合があります。

そのような場合には、無理に短いインプラントを入れたり、不安定な状態になるのを避けるために、インプラント手術の前、あるいは同時に、骨を増やす処置(骨造成)を行います。

骨造成には、患者様ご自身の骨(自家骨)や人工の骨補填材、そして骨の再生を促すための特殊な膜(メンブレン)などを用います(GBR法など)。

当院では、CTによる精密な診断に基づき、骨造成が必要かどうかを判断し、必要な場合には安全かつ確実な方法で行います。(詳細は「歯周組織再生療法」のページもご参照ください)

取り組み4:信頼性の高いインプラントシステムの選択
信頼性の高いインプラン|しろきデンタル

世界には様々な種類のインプラントシステムが存在しますが、当院では、その中でも長期的な臨床実績と科学的根拠に基づいた高い信頼性を持つインプラントシステムを選択しています。

主に、世界的なシェアと豊富なエビデンスを持つ「ノーベルバイオケア社」のインプラントシステムを採用しています。

これにより、安定した治療成績と、将来的なメンテナンスにおける部品供給などの安心感を得ることができます。

取り組み5:徹底した衛生管理と経験豊富な術者
意図的再植術をご検討の方へ|しろきデンタル

インプラント手術は外科処置であるため、感染予防が極めて重要です。

手術に使用する器具は、大学病院の手術室レベルの厳格な基準で滅菌・消毒を行い、使い捨て(ディスポーザブル)の製品も積極的に使用するなど、徹底した衛生管理体制を整えています。

また、手術は、インプラント治療に関する専門的な知識とトレーニングを受け、豊富な臨床経験を持つ歯科医師が担当します。


インプラントを長持ちさせるために最も重要なこと【メインテナンス】

インプラント治療は、人工歯を装着して終わりではありません。

むしろ、そこからがインプラントを長期的に快適に使用するための、新たなスタートです。

インプラントを長持ちさせるために最も重要なことは、治療後の継続的なメインテナンスです。

インプラント周囲炎のリスク

インプラント体自体はチタン製なのでむし歯にはなりませんが、インプラントの周りの歯茎は、天然の歯と同様に、あるいはそれ以上に歯周病に似た炎症を起こすことがあります。
これは「インプラント周囲炎」と呼びます。
インプラント周囲炎は、天然歯の歯周病と同じように、プラーク中の細菌が原因で起こります。
進行すると、インプラントを支えている顎の骨が溶けてしまい、最終的にはインプラントがグラグラになって抜け落ちてしまうことさえあります。
しかも、インプラント周囲炎は、天然歯の歯周病に比べて進行が早く、自覚症状が出にくいという特徴があるため、特に注意が必要です。

なぜメインテナンスが不可欠なのか?

インプラント周囲炎を予防し、インプラントを長期的に安定させるためには、ご自身による毎日の丁寧なセルフケア(歯磨き、歯間ブラシ、フロスなど)と歯科医院での定期的なプロフェッショナルケア(メインテナンス) の両方が不可欠です。
メインテナンスでは、インプラントやその周りの状態を専門的にチェックし、ご自身では除去しきれない汚れ(プラークや歯石)を徹底的にクリーニングします。
これにより、インプラント周囲炎の発症や進行を効果的に予防することができます。

メインテナンスの具体的な内容

当院では、インプラント治療を受けられた患者様には、通常3ヶ月~6ヶ月に一度の定期的なメインテナンスをおすすめしています。
メインテナンスでは、以下のようなことを行います。

・インプラントの状態の確認(動揺、ネジの緩みなど)
・上部構造(人工歯)の状態の確認(破損、摩耗など)
・インプラント周囲の歯茎の状態のチェック(腫れ、出血、ポケットの深さなど)
・レントゲン撮影による骨の状態の確認(定期的に)
・咬み合わせのチェックと調整
・インプラント周囲のクリーニング(専用の器具を使用)
・お口全体のクリーニング(PMTC)
・セルフケア方法の再確認と指導

インプラントは、適切なメインテナンスを継続することで、10年、20年、あるいはそれ以上にわたって快適に使用できる可能性が高まります。
治療後のケアまで責任を持ってサポートさせていただくことが、私たちの責務であると考えています。

インプラント治療をご検討されている方へ

インプラント治療は、失った歯の機能と見た目を回復するための、非常に有効で優れた治療法の一つです。

しかし、外科手術が必要であり、治療期間も長く、費用もかかるため、誰にでも、どのような状況でも適応となるわけではありません。

また、治療の成功と長期的な安定のためには、精密な診査・診断、適切な治療計画、そして何よりも治療後の継続的なメインテナンスが不可欠です。

しろきデンタルクリニックでは、インプラント治療を行うにあたり、単に失われた部分を補うだけでなく、「なぜ歯を失ったのか」という根本原因を探り、「お口全体の咬み合わせとの調和」を考え、「長期的に安定して機能すること」を最も重視しています。

そのために、CTやサージカルガイドを用いた安全・確実な手術、そして治療後の徹底したメインテナンス体制を整えています。

インプラント治療にご興味をお持ちの方、入れ歯やブリッジでお悩みの方、他院でインプラントは難しいと言われた方。

まずは、あなたの現在のお口の状態、そしてインプラント治療に対するご希望や不安をお聞かせください。

私たちは、インプラント治療のメリットだけでなく、デメリットやリスクについても正直にお伝えし、患者様にとって本当に最善の治療法は何かを、一緒に考えさせていただきます。

安心してご相談ください。

診療時間

診療時間
9:20~12:30
13:30~18:00
【休診日】日曜日、年末年始、ゴールデンウィーク、お盆、他
※当院は 完全予約制 となっております※

しろきデンタルクリニック

〒168-0064 東京都杉並区永福2-49-6

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    [TEL] 03-3321-2231
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